料理人の教科書

考え方まかない・大量調理

まかないの決め方(献立の型)

  • まかないは、時間 → 人数 → 端材 → 型 → 副菜 → 段取り、の順で決める
  • 型は6つ:丼、揚げ物の定食、煮込み、重ね焼き、焼き物の定食、麺・中華
  • 副菜は、主菜の性格の反対側から選ぶ

くわしく

1人あたりの量の目安は、一般的な知識によるもの。店や食べる人で調整する。

まかないを決める順番

  1. 時間を見る:30分か、1時間か、前日から仕込めるか
  2. 人数を見る:10人を超えるなら、天板・大鍋・丼の型を優先する
  3. 端材と在庫を見る:今日いちばん使いたいもの(余っている肉、野菜の外葉、だし)から主菜を決める
  4. 型を選ぶ:下の6つの型から選ぶ
  5. 副菜で釣り合いを取る:主菜が濃ければ、軽い・酸っぱい・冷たい副菜
  6. 段取りを並べる:時間のかかるものから(時間のかかるものから始める)

型1:丼(のせるだけ・かけるだけ)

いちばん大人数向き。ご飯を炊いて、具を一つの鍋で作れば終わる。

料理時間の目安カード
親子丼30分親子丼
中華丼30分中華丼
豚丼30分豚丼
カツ丼45分カツ丼
タコライス30分タコライス
魯肉飯1時間30分魯肉飯
ぼっかけ丼40分ぼっかけ丼
カオマンガイ炒飯50分カオマンガイ炒飯
炊き込みご飯・三色丼1時間炊き込みご飯とそぼろ丼
ビビンバ40分ビビンバ
ちらし寿司1時間ちらし寿司
カレー1〜3時間カレー
ハヤシライス1時間30分ハヤシライス
牛丼15分牛丼
チャーハン15分(ご飯は固めに炊く)チャーハン

10人分にするときのこつ

  • ご飯は1人200〜250g(炊いたあと)が目安。米なら1人90〜110g(一般的な目安)
  • 汁気のある丼は、汁にとろみをつけてから卵でとじる(大人数の丼は汁にとろみをつけてからとじる)
  • 濃いタレを先に作り、最後に水分で調整する(豚丼)
  • 副菜:浅漬け、酢の物、ナムル、おひたし。丼が濃いので、さっぱりしたもの

型2:揚げ物の定食

まかないの「鉄板」。前の晩に漬けておけば、当日は揚げるだけ。

料理ポイントカード
鶏のから揚げ一晩漬け、揚げたあと黒こしょう鶏のから揚げ
山椒唐揚げ漬け地に山椒を溶かす。焦がさない温度山椒唐揚げ
チキン南蛮一枚肉、酸味の強いタルタルチキン南蛮
油淋鶏きゅうりを2通りに切ったたれ油淋鶏
酢豚卵白で下味、衣をにぎって密着酢豚
蜂蜜レモンさつまいも酢鶏甘酢に季節の甘い野菜を足す蜂蜜レモンさつまいも酢鶏
メカジキフライ冷凍魚を塩水で、パン粉は2回メカジキフライ
かぼちゃコロッケ中身は先に作れるかぼちゃコロッケ
とんかつ二度揚げ、厚い肉はオーブンと組み合わせるとんかつ
コロッケ・メンチカツじゃがいもは焼いて甘くコロッケとメンチカツ
鶏チリ・豚チリ下揚げで火を通しきらない鶏チリと豚チリ
南蛮漬け揚げてから漬ける。前日に作れる南蛮漬け

10人分にするときのこつ

  • 肉は1人120〜150gが目安(一般的な目安)
  • 油に一度にたくさん入れない。少しずつ揚げて温度を保つ
  • たれやソースは揚げたてにかける。時間がたつと衣がふやける
  • 各自で組み立てる出し方もある(から揚げに、ピクルスやナムルを並べて弁当のように)
  • 副菜:揚げ物は脂が多いので、ピクルス、酢の物、たっぷりの生野菜

型3:煮込み(前日に仕込める)

前の日に作れて、当日は温めるだけ。人数が多い日、時間がない日の切り札。

料理系統カード
鶏のトマト煮込みトマト・洋鶏のトマト煮込み
鶏のフリカッセ白ワインとクリーム・洋鶏のフリカッセ
鶏のヴィネガー煮込みビネガーとトマト・洋鶏のヴィネガー煮込み
鶏のシャスール風きのことデミグラス・洋鶏のシャスール風
鶏のカチャトーラトマト・軽い煮込み(その日に作る)鶏のカチャトーラ
コック・オ・ヴァン赤ワイン・重い煮込みコック・オ・ヴァン
ブフ・ブルギニョン赤ワイン・重い煮込みブフ・ブルギニョン
鶏の煮込み(鴨だし)だし・洋鶏の煮込み(鴨だし)
仔羊のクスクススパイス仔羊のクスクス
ガンボスパイス・ルーガンボ
サーモンのカレーカレーサーモンのカレー
鶏大根和・だし鶏大根
鯖の味噌煮和・味噌鯖の味噌煮
鯛のあら炊き和・甘辛鯛のあら炊き
和風ロールキャベツ和・だし和風ロールキャベツ
角煮和・中角煮
肉じゃが和・甘辛肉じゃが
筑前煮・鶏の煮物和・だし筑前煮と鶏の煮物
みぞれ煮和・おろしみぞれ煮
鍋和・だし鍋
豚バラ大根和・甘辛(30分)豚バラ大根
モツ煮込み和・味噌(寝かせるとさらによい)モツ煮込み
ブリの煮付け和・甘辛(魚の切り身なら何でも)ブリの煮付け

10人分にするときのこつ

  • 肉は焼き色をつけるところだけ何回かに分ける。煮るのは大鍋で一度に
  • 煮汁は単純に5倍にしない。広い鍋なら蒸発が多く、深い鍋なら少ない。様子を見て足す
  • 脂は半分すくって半分残す(煮込みの脂は半分取って半分使う)
  • 仕上げに酸を少し(仕上げの酸で味を締める)
  • 副菜:煮込みは重いので、サラダ、マリネ、焼いた野菜。じゃがいもの付け合わせ(ロースト、ピューレ、グラタン)は満足感が上がる

型4:重ね焼き・包み焼き(天板で一度に)

残り物を別の料理に変える型。天板1枚で大人数分が焼ける。

料理下の層上の層カード
アッシ・パルマンティエミートソースじゃがいもアッシ・パルマンティエ
コテージパイひき肉のラグーマッシュポテトコテージパイ
カレードリアご飯とカレーベシャメルとチーズカレードリア
フィッシュパイ魚とベシャメルパイ生地フィッシュパイ
グラタン具とベシャメルチーズグラタン
魚の包み焼き野菜とだし魚(大きく包む)魚の包み焼き

10人分にするときのこつ

  • 前の日の煮込みやカレーを下の層に使える
  • 層が薄いと焼いている間に乾く。下の層はやや水分を残す
  • 副菜:スープ(ミネストローネなど)とサラダ

型5:焼き物の定食(魚・肉)

料理ポイントカード
鮭の焼き漬け焼いてから漬ける。前日に作れる鮭の焼き漬け
鶏の利休焼きごまをまとわせて焼く鶏の利休焼き
鶏のソテー山椒ソース皮をじっくり焼いてパリッと鶏のソテー山椒ソース
鶏肉の香草パン粉焼き塩は強めに、パン粉は先に作る鶏肉の香草パン粉焼き
ポークピカタ大量調理のためにあえて厚切りポークピカタ
ローストポーク低温で長く、最後に焼き色ローストポーク
ステック・フリット安い赤身でいい。整えすぎないステック・フリット
鶏の照り焼き皮を焼いてからたれをぬってオーブン鶏の照り焼き
チキンソテー皮をパリッと焼いてオーブンチキンソテー
生姜焼き豚バラは湯通しで脂抜き、たれは先に生姜焼き
ハンバーグつなぎで食感を変えるハンバーグ
焼き魚の定食酒で臭み抜き、最後に上火で皮鯖の塩焼きと焼き魚の定食
甘鯛の鱗焼きと野菜おろし野菜おろしは前日に作れる甘鯛の鱗焼きと野菜おろし
鶏の蜜焼き塩1%・砂糖10%・醤油10%で漬けてオーブン。20〜30人分も同じ手間鶏の蜜焼き
鶏むねのしっとり焼き香味野菜の湯で煮て、休ませてから焼き色鶏むねのしっとり焼き
豚こまの肉巻き安い切り落としを10cmにそろえて巻く豚こまの肉巻き

10人分にするときのこつ

  • 天板とオーブンで一度に焼けるものを選ぶ。フライパンで1枚ずつ焼く料理は人数分の時間がかかる
  • 皮目だけフライパンで焼き、オーブンで仕上げる方法もある推測
  • 副菜:和なら汁物と和え物、洋ならスープとサラダ

型6:麺・パスタ・中華の一皿

料理ポイントカード
あんかけ焼きそば合わせ調味料は作らず、味見で足すあんかけ焼きそば
担々麺肉味噌・ラー油・ごまペーストは前もって担々麺
あさりとクレソンのスパゲッティ油とだしを沸かして乳化あさりとクレソンのスパゲッティ
カーチョエペペチーズの削り方で役割を変えるカーチョエペペ
端材のパスタ魚や野菜の端とだしでソース端材のパスタ
ボロネーゼ・ラグー肉をごろごろに焼きつけるボロネーゼとラグーパスタ
ラーメン営業のガラでスープラーメン
冷やし中華・冷たい麺冷たい麺は味を濃いめに冷やし中華と冷たい麺
青椒肉絲具を別々に炒めて最後に合わせる青椒肉絲
麻婆なすなすは揚げてから最後にあんと麻婆なす
冷しゃぶゆでた豚を水に落とさない冷しゃぶ
麻婆豆腐肉は薄く広げて炒める。最後に酢を少し豆板醤を使わない麻婆豆腐
回鍋肉ソースを先に作り、からめるだけ回鍋肉
鯛団子のチリソース仕上げは1分鯛団子のチリソース
いかのセート風煮込みいかは最後にさっといかのセート風煮込み
カルボナーラ火を止めて卵、弱火で様子を見るカルボナーラ
鯖と小松菜のパスタ冷凍サバで。薄皮と塩で臭みを取る。フライパン1つ鯖と小松菜のパスタ
野菜炒め野菜は600gまで。鍋はあおらない野菜炒め
レバニラ炒めレバーは厚く、表面だけ焼いて取り出すレバニラ炒め
ゴーヤーチャンプルーゴーヤーは30秒ゆで、苦みは消さないゴーヤーチャンプルー

10人分にするときのこつ

  • 麺は1人生麺1玉(120〜150g)、乾麺のパスタは1人80〜100gが目安(一般的な目安)
  • 麺をゆでる・パスタを乳化させるのは、一度に扱える量ずつ。大人数ならゆで湯と鍋を2つ用意する
  • 中華は仕上げの直前まで全部準備して、最後に一気に(中華の仕上げは火力で1分)
  • 副菜:中華ならナムルやスープ、パスタならサラダ

副菜の引き出し

主菜に合わせて、釣り合いを取る副菜を選ぶ(献立は濃い主菜と軽い副菜で釣り合いを取る)。

主菜の性格合う副菜の方向例
辛い・濃い酸っぱい、さっぱり酢を効かせたナムル、酢の物、浅漬け
揚げ物・脂っこい酸味、生野菜ピクルス、大根の甘酢、コールスロー
煮込み・重い焼き野菜、サラダ、じゃがいもローストポテト、グリーンサラダ、ラタトゥイユ
和の主菜汁物と和え物かぶと油揚げの炊いたん、ごま和え、お吸い物
暑い日冷たい、香りの野菜冷や汁、ライタ(きゅうりとミントのヨーグルト)、焼きびたし
卵の一品がほしい卵焼き、スープだし巻き卵、トマト卵スープ
汁物がほしい具だくさんの汁豚汁、じゃがいものスープ(ビシソワーズ)
作り置きの一品冷めてもおいしいきんぴらごぼう
甘いものがほしい冷やして固めるだけぷるぷるプリン(アガーで固める)

決め方の例

例:鶏もも、キャベツ半分、卵、8人、30分のとき

  1. 30分 → 前日仕込みの煮込みは無理。丼か揚げ物か炒め物
  2. 8人 → 1人前ずつの料理は避ける
  3. 鶏もも・キャベツ・卵 → 親子丼(キャベツは副菜)、油淋鶏(キャベツは千切りの付け合わせ)、回鍋肉風の鶏キャベツ味噌炒め(カード外)
  4. 副菜は、キャベツの浅漬けか、キャベツと卵のスープ

この手順を、カードを見ながら毎回くり返す。足りない型は、作ったまかないをカードにして増やしていく。

なぜそうなるのか

まかないは、ゼロから考えると時間がかかる。「型」を持っておけば、食材・人数・時間を聞いた瞬間に、候補を3つ出せる。型は「主菜の形 + 釣り合いを取る副菜 + 汁」で考える。

人数が多い日に天板・大鍋・丼の型を優先するのは、フライパンで1枚ずつ焼く料理は、人数分の時間がかかるからだ。

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