料理人の教科書

やり方衛生と安全

厨房の温度管理

時間毎日5分難しさふつう

  • 冷たいものは10℃以下、凍らせるものは-15℃以下、温かいものは65℃以上に保つ。そのあいだの温度に長く置かない
  • 加熱は、中心まで75℃で1分以上(二枚貝などは85〜90℃で90秒以上)。見た目でなく、中心温度計ではかって確かめる
  • 大鍋の料理は、浅い容器に小分けして、中心が20℃くらいになるまで早く冷ます
道具
冷蔵庫・冷凍庫用の温度計、中心温度計(刺すタイプ)、温度の記録表、浅いバットや小さな容器、氷水を張れる大きなバット

用意するもの

  • 冷蔵庫・冷凍庫用の温度計:中の本当の温度を知るため。扉の開け閉めや詰めこみで、温度は上がる
  • 中心温度計(刺すタイプ):中まで火が通ったかは、見た目ではわからないから
  • 温度の記録表:毎日はかった温度を書いておくと、いつもとちがう日にすぐ気づける
  • 浅いバットや小さな容器:大鍋の料理を小分けして、早く冷ますため
  • 氷水を張れる大きなバット:容器ごと冷やすため
温度の管理に使うもの。冷蔵庫用の温度計・中心温度計・浅いバット
温度の管理に使うもの。冷蔵庫用の温度計・中心温度計・浅いバット

温度の目安

場面目安
冷蔵(肉・卵・牛乳など)10℃以下
冷蔵(生の魚介)5〜10℃以下。できるだけ低く
冷凍-15℃以下
加熱(ふつうの料理)中心75℃で1分以上
加熱(二枚貝など)中心85〜90℃で90秒以上
低い温度で火を入れる肉中心が63℃になってから30分以上
温かいまま置く65℃以上
冷ます中心20℃くらいまで、30分〜2時間以内(早いほどよい)
寄生虫(アニサキス)が心配な魚-20℃で24時間以上凍らせる。加熱なら中心70℃以上(60℃なら1分以上)

手順

  1. 始業前に、冷蔵庫と冷凍庫の温度計を見る。冷蔵が10℃以下、冷凍が-15℃以下か確かめ、記録表に書く
    冷蔵庫の中に温度計を置き、始業前に見る
    冷蔵庫の中に温度計を置き、始業前に見る
  2. 冷蔵庫には7割くらいまでしか入れない。扉はすばやく閉める
  3. 生の肉と魚は、ふた付きの容器に入れて一番下の段に置く。古いものを手前にして、古いものから使う
    生の肉と魚は、ふた付きの容器に入れて一番下の段に置く
    生の肉と魚は、ふた付きの容器に入れて一番下の段に置く
  4. 凍った食材は、冷蔵庫の中か、袋に入れて流水で解かす。室温に置いて解かさない。使う分だけ解かし、解かしたものは凍らせ直さない
  5. 加熱したら、いちばん火が通りにくいところ(厚いところ、大きな具、鍋の真ん中)に中心温度計を刺し、何か所かはかる。中心が75℃になってから、さらに1分以上加熱する
    中心温度計は、いちばん厚いところの真ん中まで刺す
    中心温度計は、いちばん厚いところの真ん中まで刺す
  6. 二枚貝など、ノロウイルスのおそれがあるものは、中心を85〜90℃にして90秒以上加熱する
  7. すぐに出さない料理は、温かいものは65℃以上、冷たいものは10℃以下で置く
  8. あとで使う料理は、浅い容器に小分けし、氷水に当てて中心20℃くらいまで早く冷ます。冷めたらふたをして冷蔵庫に入れる
  9. 温め直すときは、鍋底からかき混ぜながら、ぐつぐつ煮立つまで、中心までしっかり加熱する
    温め直すときは、鍋底からかき混ぜる
    温め直すときは、鍋底からかき混ぜる

なぜそうなるのか

  • 菌は、冷やすと増え方がゆっくりになり、凍らせると増えるのが止まる。でも死ぬわけではない。だから、冷蔵庫から出したり解かしたりすると、また増えはじめる
  • 菌は、人の体温に近い温度でいちばん速く増える。10℃と65℃のあいだに長く置くほど、たくさん増える
  • 中心を75℃で1分以上にすると、ふつうの食中毒の菌は死ぬ。ノロウイルスは熱に強いので、もっと高い温度が要る
  • ウエルシュ菌という菌は、熱に強い殻を作るので、煮こんでも生き残る。大鍋のままゆっくり冷ますと、空気の少ない鍋の中で、冷めていく途中の温度(50℃くらいから下)で一気に増える。だから小分けして早く冷ます

よくある失敗

  • 大鍋のカレーや煮物を、ふたをしたまま室温でひと晩冷ます → ウエルシュ菌が増える → 浅い容器に小分けし、氷水で冷ましてから冷蔵庫へ
  • 熱いまま冷蔵庫に入れる → 冷蔵庫の中の温度が上がり、ほかの食材も傷みやすくなる → 先に氷水で粗熱を取ってから入れる
  • 焼き時間や見た目だけで、火が通ったと決める → 肉の厚さで中の温度は大きく変わる → 中心温度計ではかる
  • 室温で解凍する → 外側から温まって、菌が増える → 冷蔵庫の中か流水で解かす
  • 冷蔵庫に詰めこむ → 冷気が回らず、温度にむらが出る → 7割くらいまでにする

安全の注意

  • 熱い鍋やバットを氷水に移すときは、やけどに気をつける。乾いた厚手の布巾か手袋を使う。ぬれた布巾は熱を通しやすい
  • 中心温度計の針は細くて鋭い。刺すときは、支える手の方に針を向けない。生の肉をはかったら、針を洗ってアルコールでふいてから、加熱した料理をはかる
  • ドライアイスで冷やすときは、素手でさわらない(凍傷になる)。ふたを閉めきった容器に入れない(破裂する)。換気する(二酸化炭素が低い所にたまる)
  • 鶏肉は、新鮮でも食中毒の菌がいることがある。低い温度で火を入れるときも、中心63℃で30分以上を守る

プロの目安

  • 冷蔵庫と冷凍庫の温度が毎日記録されていて、決めた温度から外れた日がない
  • 加熱した料理の中心温度を、はかって書き残している
  • 大鍋の料理が、決めた時間のうちに20℃くらいまで下がっている
  • 温度計を、ときどき氷水(0℃)と沸騰したお湯(100℃近く)に入れて、正しい温度を指すか確かめている

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