
やり方衛生と安全
厨房の温度管理
- 冷たいものは10℃以下、凍らせるものは-15℃以下、温かいものは65℃以上に保つ。そのあいだの温度に長く置かない
- 加熱は、中心まで75℃で1分以上(二枚貝などは85〜90℃で90秒以上)。見た目でなく、中心温度計ではかって確かめる
- 大鍋の料理は、浅い容器に小分けして、中心が20℃くらいになるまで早く冷ます
- 道具
- 冷蔵庫・冷凍庫用の温度計、中心温度計(刺すタイプ)、温度の記録表、浅いバットや小さな容器、氷水を張れる大きなバット
用意するもの
- 冷蔵庫・冷凍庫用の温度計:中の本当の温度を知るため。扉の開け閉めや詰めこみで、温度は上がる
- 中心温度計(刺すタイプ):中まで火が通ったかは、見た目ではわからないから
- 温度の記録表:毎日はかった温度を書いておくと、いつもとちがう日にすぐ気づける
- 浅いバットや小さな容器:大鍋の料理を小分けして、早く冷ますため
- 氷水を張れる大きなバット:容器ごと冷やすため

温度の目安
| 場面 | 目安 |
|---|---|
| 冷蔵(肉・卵・牛乳など) | 10℃以下 |
| 冷蔵(生の魚介) | 5〜10℃以下。できるだけ低く |
| 冷凍 | -15℃以下 |
| 加熱(ふつうの料理) | 中心75℃で1分以上 |
| 加熱(二枚貝など) | 中心85〜90℃で90秒以上 |
| 低い温度で火を入れる肉 | 中心が63℃になってから30分以上 |
| 温かいまま置く | 65℃以上 |
| 冷ます | 中心20℃くらいまで、30分〜2時間以内(早いほどよい) |
| 寄生虫(アニサキス)が心配な魚 | -20℃で24時間以上凍らせる。加熱なら中心70℃以上(60℃なら1分以上) |
手順
- 始業前に、冷蔵庫と冷凍庫の温度計を見る。冷蔵が10℃以下、冷凍が-15℃以下か確かめ、記録表に書く

冷蔵庫の中に温度計を置き、始業前に見る - 冷蔵庫には7割くらいまでしか入れない。扉はすばやく閉める
- 生の肉と魚は、ふた付きの容器に入れて一番下の段に置く。古いものを手前にして、古いものから使う

生の肉と魚は、ふた付きの容器に入れて一番下の段に置く - 凍った食材は、冷蔵庫の中か、袋に入れて流水で解かす。室温に置いて解かさない。使う分だけ解かし、解かしたものは凍らせ直さない
- 加熱したら、いちばん火が通りにくいところ(厚いところ、大きな具、鍋の真ん中)に中心温度計を刺し、何か所かはかる。中心が75℃になってから、さらに1分以上加熱する

中心温度計は、いちばん厚いところの真ん中まで刺す - 二枚貝など、ノロウイルスのおそれがあるものは、中心を85〜90℃にして90秒以上加熱する
- すぐに出さない料理は、温かいものは65℃以上、冷たいものは10℃以下で置く
- あとで使う料理は、浅い容器に小分けし、氷水に当てて中心20℃くらいまで早く冷ます。冷めたらふたをして冷蔵庫に入れる
- 温め直すときは、鍋底からかき混ぜながら、ぐつぐつ煮立つまで、中心までしっかり加熱する

温め直すときは、鍋底からかき混ぜる
なぜそうなるのか
- 菌は、冷やすと増え方がゆっくりになり、凍らせると増えるのが止まる。でも死ぬわけではない。だから、冷蔵庫から出したり解かしたりすると、また増えはじめる
- 菌は、人の体温に近い温度でいちばん速く増える。10℃と65℃のあいだに長く置くほど、たくさん増える
- 中心を75℃で1分以上にすると、ふつうの食中毒の菌は死ぬ。ノロウイルスは熱に強いので、もっと高い温度が要る
- ウエルシュ菌という菌は、熱に強い殻を作るので、煮こんでも生き残る。大鍋のままゆっくり冷ますと、空気の少ない鍋の中で、冷めていく途中の温度(50℃くらいから下)で一気に増える。だから小分けして早く冷ます
よくある失敗
- 大鍋のカレーや煮物を、ふたをしたまま室温でひと晩冷ます → ウエルシュ菌が増える → 浅い容器に小分けし、氷水で冷ましてから冷蔵庫へ
- 熱いまま冷蔵庫に入れる → 冷蔵庫の中の温度が上がり、ほかの食材も傷みやすくなる → 先に氷水で粗熱を取ってから入れる
- 焼き時間や見た目だけで、火が通ったと決める → 肉の厚さで中の温度は大きく変わる → 中心温度計ではかる
- 室温で解凍する → 外側から温まって、菌が増える → 冷蔵庫の中か流水で解かす
- 冷蔵庫に詰めこむ → 冷気が回らず、温度にむらが出る → 7割くらいまでにする
安全の注意
- 熱い鍋やバットを氷水に移すときは、やけどに気をつける。乾いた厚手の布巾か手袋を使う。ぬれた布巾は熱を通しやすい
- 中心温度計の針は細くて鋭い。刺すときは、支える手の方に針を向けない。生の肉をはかったら、針を洗ってアルコールでふいてから、加熱した料理をはかる
- ドライアイスで冷やすときは、素手でさわらない(凍傷になる)。ふたを閉めきった容器に入れない(破裂する)。換気する(二酸化炭素が低い所にたまる)
- 鶏肉は、新鮮でも食中毒の菌がいることがある。低い温度で火を入れるときも、中心63℃で30分以上を守る
プロの目安
- 冷蔵庫と冷凍庫の温度が毎日記録されていて、決めた温度から外れた日がない
- 加熱した料理の中心温度を、はかって書き残している
- 大鍋の料理が、決めた時間のうちに20℃くらいまで下がっている
- 温度計を、ときどき氷水(0℃)と沸騰したお湯(100℃近く)に入れて、正しい温度を指すか確かめている



