料理人の教科書

やり方衛生と安全

食中毒を防ぐ3つの原則

時間毎日10分難しさやさしい

  • 細菌による食中毒は、菌をつけない・増やさない・やっつける、の3つで防ぐ
  • ノロウイルスは食べ物の中では増えないが、ほんの少しでうつる。だから、厨房に持ちこまない・ひろげない、も大事になる
  • 毎日の点検(体調・手洗い・温度・器具)を決めて記録することが、3つの原則を守るしくみになる
道具
手洗いの設備、用途別のまな板と包丁、冷蔵庫・冷凍庫用の温度計、中心温度計、塩素系漂白剤、点検の記録表

用意するもの

  • 手洗いの設備(石けん、ペーパータオル、アルコール):手から菌をつけないため
  • 用途別のまな板と包丁:生の肉や魚の菌を、ほかの食べ物にうつさないため
  • 冷蔵庫・冷凍庫用の温度計:菌を増やさない温度か確かめるため
  • 中心温度計:菌をやっつける温度まで上がったか確かめるため
  • 塩素系漂白剤:器具の消毒と、ノロウイルス対策のため
  • 点検の記録表:毎日の点検を書いて残すため

手順

  1. 始業前に、自分の体調を確かめる。下痢・おう吐・発熱があれば、調理に入らず責任者に伝える(持ちこまない)
  2. 厨房に入る前に、手を洗う(つけない)
  3. 冷蔵庫と冷凍庫の温度を確かめて、記録する(増やさない)
  4. 生の肉・魚と、そのまま食べるものは、まな板・包丁・置き場所を分ける。同じまな板で切るなら、生で食べる野菜を先に、生の肉や魚をあとに切る(つけない)
    生の肉と、そのまま食べる野菜は、まな板と包丁を分ける
    生の肉と、そのまま食べる野菜は、まな板と包丁を分ける
  5. 食材は使う直前まで冷蔵庫に入れておき、出したらすぐに下ごしらえする(増やさない)
  6. 加熱は中心75℃で1分以上、二枚貝などは85〜90℃で90秒以上。中心温度計ではかる(やっつける)
  7. 作った料理は、すぐ出すか、温かいものは65℃以上・冷たいものは10℃以下で置く。冷ますものは小分けして早く冷やす(増やさない)
    温かい料理は温かいまま、冷たい料理は冷たいまま置く
    温かい料理は温かいまま、冷たい料理は冷たいまま置く
  8. 使った器具は、洗って消毒して乾かす(やっつける)
  9. その日の点検を、記録表に書く

メニューの3つの分け方

  • HACCP(ハサップ)は、食中毒が起きやすいところを先に決めて、そこを毎日守り、記録する衛生管理のやり方。飲食店も取り組むことが決まっている
  • 小さな飲食店では、メニューを温度の守り方で3つに分けて考える
分け方料理の例守ること
加熱しないもの刺身、サラダ、冷奴10℃以下で保ち、冷蔵庫から出したらすぐに出す
加熱してすぐ出すものハンバーグ、唐揚げ、焼き鳥中心まで火を通す(75℃で1分以上)
加熱して冷まし、温め直すか冷たいまま出すものカレー、スープ、ポテトサラダ早く冷ます。温め直すときは中心まで火を通す
3つの分け方の例。左から加熱しないもの・加熱してすぐ出すもの・加熱して冷まして温め直すもの
3つの分け方の例。左から加熱しないもの・加熱してすぐ出すもの・加熱して冷まして温め直すもの

なぜそうなるのか

  • 食中毒の菌は目に見えず、食べ物の見た目やにおいが変わらないことも多い。菌は、食べ物について、増えて、生き残ったときに食中毒を起こす。3つのどこかで止めれば防げるし、重ねて守るほど確かになる
  • ノロウイルスは、人のおなかの中でしか増えない。だから、増やさないは当てはまらない。そのかわり、ほんの少しの量でうつるので、調理する人が持ちこまないこと、厨房にひろげないことが大事になる
  • 加熱だけでは防げないものもある。黄色ブドウ球菌(人の鼻や手の傷にいる菌)が作る毒は、加熱しても壊れない。ウエルシュ菌(大鍋の煮物で増える菌)は、熱に強い殻を作って生き残る。だから、やっつけるだけに頼らず、つけない・増やさないも守る

よくある失敗

  • 新鮮な鶏肉だからと、生や半生で出す → カンピロバクター(鶏肉に多い菌)は新鮮な肉にもいて、少しの量でうつる → 中心まで75℃で1分以上加熱する
  • 生の肉を切ったまな板で、そのままサラダの野菜を切る → 菌が野菜にうつる → まな板を替えるか、洗って消毒してから使う
  • 大鍋の煮物を、室温でゆっくり冷ます → ウエルシュ菌が増える → 小分けして早く冷やす
  • 手に傷があるのに、素手でおにぎりやすしを作る → 黄色ブドウ球菌がついて毒を作り、その毒は加熱しても消えない → 傷に絆創膏をはって手袋をする。うんだ傷なら調理に入らない
  • おなかの症状が治ったので、すぐいつも通りに調理する → ノロウイルスは、治ったあとも1週間、長いと1か月ほど便に出る → 責任者と相談し、手洗いをいつも以上に念入りにする
  • 酢やわさびで、寄生虫のアニサキスが死ぬと思う → 死なない → -20℃で24時間以上凍らせるか、中心まで加熱する。魚の内臓は早く取り、身を目で見て取りのぞく

安全の注意

  • 吐いたものの片づけは、使い捨ての手袋・マスク・エプロンをつけてする。器具の消毒より濃い塩素の液(約1000ppm)を使い、換気する
  • 塩素系の漂白剤は、酸性の洗剤や酢と混ぜない。有毒なガスが出る
  • アルコールはノロウイルスに効きにくい。アルコールだけで安心せず、石けんと流水で手を洗う
  • 体調が悪いのに無理して働かない。店も、具合が悪いと言い出しやすい決まりを作っておく

プロの目安

  • 毎朝の点検(体調、手洗い、冷蔵庫の温度)が、記録表に残っている
  • 店のメニューの1つ1つが、3つの分け方のどれに入るか言える
  • 生の肉・魚の道具と、そのまま食べるものの道具が、だれが見ても分かれている
  • 生の鶏肉・二枚貝・生の魚を出すときに、どの温度や手順を守ればよいか説明できる

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